Exhibitions

 

現代社会において、多くの人々が「完璧」を求めることに取り憑かれています。古くからあるメディアから、昨今のソーシャルメディアに到るまで、この完璧さは過剰な高い基準を求める非現実的な存在です。また現代社会は、失敗を許さない経済システムの硬直性によって動かされています。それゆえに、私たちの多くが、自分の人生について秘密を明かさず、挫折や失敗として人に見られてしまう可能性のある物事を、執念深く隠す傾向にあるのです。完璧にはなれないと良く分かっていながら、完璧を装い、実際に経験している望まれていない感情—じつはそれが本当の感情—から自身を閉ざしてしまうのです。

サンテ・ヴィジオー二は、本展「SCARSーEverything You Are」において、普段の生活や自己意識の中に隠された側面を深く探ろうと、彼自身の失敗や欠点、後悔などを率直に自己評価していくことを通して、ドローイングやペインティングなどを中心に、その他多岐にわたるメディアで制作した作品を発表します。金継ぎという日本の習慣から着想を得て、より良く強い人に成長する手段として、自分自身の欠陥と失敗に光をあてた「恥の壁」のようなものを提示しようとしています。ヴィジオーニの作品は、鑑賞するわれわれを、密かに隠している傷跡を発見し、共有し、そこから学びを得ることで、コンフォートゾーンから抜け出して自分自身により忠実になることで、互いの成長と接続へと招き入れようとしているのです

Artists

サンテ・ヴィジオー二

フィレンツェ大学で工業技術を学んだ Sante Visioni の芸術表現は、主に“バランス”というコンセプトを重視しています。相反する力が生み出す葛藤を追求することにより、コントラストを利用してどのように私たちの内面を表現することができるかを探求します。彼の作品の中心にそれらを持ち続けると同時に、観衆と彼自身の両者に、また音やその他のメディアに調和させることにより、先験的な視覚表示を超えた没入型の体験を与えることを目的としています。物理的接触の範囲の一部となるこの相互作用の探求は、2010年にイタリアのエレクトロパンクバンドであるDPGのメンバーとなり、彼らのライブで観衆に囲まれながら絵を描いたことが根本的な発端となっている。その瞬間の自発性と即時性は、今もなお彼の創造的なプロセスの生き生きとした部分でもある。

たとえ両者の分野に接点がなくても相互効果の力に強い確信を抱き、プロジェクトや他アーティストとのコラボレーションを追求し、ハイブリッド(混成)の結果に共通性を見出す機会を抱き続けている。スタジオでの活動のほか、ライブパフォーマンスやストリートへの介在、某有名ブランドとのコラボレーションも行っている。

現在は都内在住、東京を拠点に活動している