Exhibitions

 

GALLERY ETHERは、アートフェアFOCUS Londonでネルソン・ホーの没入型インスタレーション体験「Memory is a Garden」を10月4日(水)から10月07日(土)まで開催いたします。

今回の個展のタイトルである「Memory is a Garden (記憶は庭)」では、日本の慣用句である「見ぬが花」を発展させ、「物事はまだ見ないで、どんなだろうと想像しているうちがよいものである」という発想を表現しています。しかし、人々は経験や記憶を持っているからこそ、情報や証拠をつなぎ合わせて、将来の見通しを立てたり、予測したりすることができますが、過去の経験を追体験し、時間と空間の感覚を作り出す手段である記憶は、どちらかというと信頼性に欠けます。記憶というのは、感情やトラウマなどの要因によって、歪んだり、操作されたり、単に捏造されたりすることが多いです。ネルソンは、人間としての私たちの存在が、この不正確で柔軟な記憶の上に成り立っているという考えに魅力を感じています。今回の展示では、没入型インスタレーションの中で作品群を展示し、外的要因によって記憶が容易に変化することを体験できる空間を作り出し、まるで部屋の隅から音が聞こえてくるかのように、脳の一部が互いにコミュニケーションしている様子を実演しています。見ぬが花ならば、記憶は庭。

Artists

ネルソン・ホー

マレーシア出身のネルソン・ホーは、2022年に多摩美術大学日本画専攻を卒業。

在学中は、アーティストとしての自分の声を表現するための完璧なツールを見つけるべく、あらゆる種類のメディウムを探求。その中で、古代人がメッセージを伝えたり、当時の事件を記録するために残した壁画に用いた岩絵具を、人類と自然との原初的なつながりのようなものだと捉えた。そして、うつ病やLGBTQに対する差別など、現代社会に渦巻く問題を記録するツールとして岩絵具を使うことができたら面白いのではないかと考えるようになった。

卒業制作では、封筒を使って自分の声を表現。 封筒は言葉の輸送手段であると同時に、非常に個人的で親密なものであり、メッセージを受け取るためには広げて覗き込む必要があるものだからだ。

ホーは、アートは人々を感動させ、新たな疑問を引き起こし、好奇心、興奮、怒りを引き起こすユニークな位置づけであると信じている。それゆえ、ホーの作品はあえて「個人的な」コンテンツを露出させ、人々にそれを覗き見させる。制作にあたり、自身の作品をエンパシーを映し出す鏡として捉え、それがアーティストとオーディエンスの双方に新しい発見とつながりをもたらすことを願っている。